

スーツは自宅で洗えるの?
洗濯機での洗い方と洗濯する際の注意点を解説
自宅でもスーツは洗える? 洗濯前に確認すること
洗濯表示を確認する
まずは自宅でスーツが洗えるか、洗濯表示を確認しましょう。上のような桶マークがあれば、洗濯機洗いが可能です。桶の中の数字は、洗濯の水温の上限温度を表しています。一般的には、「30」と表記されたスーツが多く、「40」と表記されたスーツは、温水洗浄機能の付いた洗濯機でも洗うことができます。40℃はより洗剤が効力を発揮し、汗や皮脂などの汚れをしっかりと落とせる温度なので、スーツの内側のモヤッとした気になる臭いや汗などがすっきり洗い流せます。
桶の下の棒線は水流の強さを表し、線が多いほど弱い水流で洗うことを意味しています。手洗いマークでも、洗濯機に「手洗い」「ドライ」「おうちクリーニング」コース(※メーカーによって名称が異なります)があれば、洗濯機洗いが可能です。桶に×印がついていたら、家庭での洗濯がNGなのでクリーニングに出しましょう。
色落ちしないかテストする
スーツの裏側の目立たない箇所におしゃれ着用洗剤をつけて数分放置し、タオルの端っこなどでトントンと叩いて色落ちしないかチェックしましょう。タオルに色が移っていなければ、そのまま洗濯してOKです。もし色落ちしてしまった場合は、クリーニングに出して色落ちしたことを伝え、プロにお任せを。
色落ちチェック後、スーツをすぐに洗わない場合は洗剤をつけたまま放置するのはよくないので、水分を含ませて絞ったタオルで洗剤を落としましょう。
ポケットの中身を空にしておく
当たり前のことですが、必ずポケットの中を確認しましょう。意外とハンカチや名刺、メモ書き、ボールペンなどが入っていることも。ジャケット、ズボンともに忘れずに。
ジャケット、ズボンは一緒に洗う
どちらかだけを洗濯すると、洗濯回数の差によって色みに若干の差が生じてしまう可能性があります。ズボンが汚れたからといって、ズボンだけを洗うのは避けて。同じタイミングで、上下ともに洗うようにしましょう。また型崩れやシワ防止のため、ほかの衣類とは一緒に洗わないことをおすすめします。
洗う頻度は、どうスーツを着ていたかにもよるので、臭いや汚れが気になったら洗うようにしましょう。花粉が飛散する春は、定期的に洗うと花粉対策にもなります。
お手入れが簡単!ウォッシャブルスーツの特徴
最近は、洗濯機で洗えるイージーケアを目的としたウォッシャブルスーツ=洗えるスーツが増えてきています。「本当に洗って大丈夫?」「どうやって洗ったらいいの?」と思っている人も多いはず。そこで、自宅で安心して洗濯できるウォッシャブルスーツの洗い方を紹介します。
ポリエステルやトリアセテートなど、型崩れしにくい素材を使用している
ウォッシャブルスーツは、なんといってもお手入れのしやすさが魅力! ポリエステルやトリアセテートなどの化学繊維を使用したスーツは、シワになりにくく、型崩れや縮みにも強い仕様になっています。もしシワになってしまっても、低温のアイロンやスチーマーですぐにシワが伸びてきれいになるので、お手入れがラクチンです。
ちなみに、ウールは縮みやすく、型崩れしやすい素材ですが、繊維の組み合わせによっては洗えるウール素材もあるので、洗濯表示をしっかり確認しましょう。
水洗いはもちろん、シャワーだけでも洗える!
ウォッシャブルスーツは、洗濯機洗いや手洗いはもちろん、シャワーだけでも洗えます。万が一、出張先などで汚してしまった場合は、次の方法で洗ってみましょう。
【洗い方】
1:上下ともに裏返してハンガーにかけ、洗濯表示の温度の温水を1分くらい全体にかけます。特に気になる脇や前身頃は重点的にシャワーをかけましょう。
2:終わったら表に返し、同様にハンガーにかけ、シャワーを1分くらいかけます。
3:洗濯機がある場合は、ネットに入れて、1分間脱水してから陰干しに。もし出張先などで洗濯機での脱水が難しい場合は、バスタオルにスーツを挟んでくるくる巻いて、バスタオルでしっかりと脱水してから部屋干ししましょう。
※注意:タオルドライの場合、裏地付きのスーツや厚手生地のスーツなどは翌朝までに乾かないこともあります。
洗濯機でスーツを洗う方法
家庭の洗濯機で洗う場合は、必ずネットを使用する
ジャケット、ズボン、スカートなど、それぞれの衣類を個別に1枚ずつネットに畳んで入れます。ネットのサイズは、畳んだ時に入るジャストサイズがベスト。ネットのサイズが大きすぎると、ネットの中でジャケットやズボンが揺れて型崩れやシワの原因になってしまいます。
各アイテムの畳み方は、汚れている部分が表にくるように畳むのがポイント。汗で気になる脇や臭いを落としたい時は裏返し、食べこぼしやほこりなどが気になる場合は裏返さず、表のまま畳んでネットに入れます。
ジャケットはボタンを留めた状態で、胸の部分で2つ折りに。前身頃を洗いたい場合は、袖を背中側に畳んでから前身頃が表になるように2つ折り、後身頃を洗いたい場合は、袖を胸前で畳んでから後身頃が表になるように2つ折りにします。
パンツは、ファスナーやボタンを留めて3つ折りに。折る回数が増えると汚れが落ちにくくなるので、4つ折りよりも3つ折りの方がベターです。センタープレス入りのパンツは、センタープレスのラインが両端に来るように折ってから3つ折りにします。スカートはパンツと同様ファスナーやボタンを留めて、ウエスト中央で縦に2つ折りにします。
おしゃれ着用の中性洗剤を使用する
アルカリ性洗剤を使用すると、洗浄力が強くて生地の光沢がなくなったり風合いを損ねてしまったりする恐れがあるので、必ず、おしゃれ着用の中性洗剤を使うこと! 柔軟剤は、生地の風合いがよくなるのでぜひ入れてみましょう。ただ入れすぎには注意です! 入れすぎてしまうと、次に洗う時に汚れが落ちなくなってしまうので、適量を入れるように。
洗濯表示の水温で、「手洗い/ドライ/おうちクリーニングコース」などの、弱水流を選択する
生地へのダメージを抑えるために、洗濯機は優しく洗える洗濯コースを選びましょう。水温は洗濯表示の桶マークの数字を確認して。水道水で問題ないですが、水温は外気温と比例しているので、よく汚れを落としたい場合は温水で洗うのがおすすめです。洗濯機に温水洗浄機能がない場合は、湯船に温水を溜め、ホースで洗濯機に注水するようにしましょう。ただし、お風呂の残り湯を使うのはおすすめしません。
シワの原因になるため、脱水時間は短めに
脱水は、最短の1分で! 脱水時間が長くなると、シワの原因になります。シワ&型崩れ防止のため、脱水する時もネットに入れたまま行いましょう。
手洗いする場合は、優しく押し洗い
洗濯表示の温水におしゃれ着用中性洗剤を入れ、しっかりかき混ぜます。衣類を畳んだまま温水の中に浸し、ゆっくりと5~6回押し洗いします。摩擦で衣類に負担がかからないように優しく洗います。手洗いの場合は、汚れが落ちにくくなってしまうので、衣類をネットに入れる必要はありません。
すすぎも同様に優しく押し洗いします。温水を入れ替え、泡や汚れが出なくなるまで、すすぎましょう。すすぎが終わったらネットに入れ、洗濯機で1分間脱水します。
洗濯したスーツの干し方のポイント
干し方にも、シワになりにくく速く乾かすポイントがあります。しっかりポイントを押さえておきましょう。
洗濯が終わったら、すぐに干す
脱水が終わったら、すぐに洗濯機から取り出して干すようにしましょう。シワや型崩れの防止に加え、臭いの発生も防げます。
ジャケットは、ハンガー選びがコツ! 肩部分に厚みのあるハンガーにかけて干す。
スラックスは、ピンチハンガーを使って筒状に
干す時も、スーツの形を崩さないように注意しましょう。裏返したままだと、シワに気づかない場合もあるので、表にして干します。
特にジャケットは、肩の部分が一番型崩れしやすく、見た目的にも気になる部分なので、ハンガー選びがポイントです。特にメンズのジャケットは肩幅があるので、厚みのある幅広のハンガーを使いましょう。幅広のハンガーがない時は、タオルを巻いて厚みをもたせるのもおすすめです。
パンツやスカートは、ピンチハンガーを使って筒状にして干すと速く乾きます。ズボンハンガーを2本使って筒状にするのもOKです。
風通しのよいところで陰干しする
直射日光は衣類を退色させてしまう恐れがあるので、色あせ防止のために陰干しが鉄則です。花粉が気になる季節は、部屋干ししましょう。花粉の量が減る夜に干しても花粉はつくので、外干しは控えて。臭いの発生が防げるよう、速く乾く風通しのよいところで干すように。シワが伸びるよう生地を優しく叩いたり伸ばしたりして、形を整えます。
アイロンは完全に乾ききる前に
繊維には湿っていると元に戻ろうとする性質があるので、少し湿っている状態でアイロンをかけた方が、よりきれいにシワを伸ばすことができます。また、しっかり乾ききるところまで、アイロンをかけるのがポイントです。「アイロンしたのに、なんかヨレヨレしているな……」という時は、乾ききっていないことが原因です。
アイロンの温度は、洗濯表示で確認を。アイロンの中の点の数により、1つは低温(上限温度110℃)、2つは中温(上限温度150℃)、3つは(上限温度200℃)を表しています。スーツの場合、180℃以上の高温でアイロンをかけると繊維が壊れてしまい、生地がテカってしまうので低温でかけるのがおすすめです。初心者は洗濯表示が中温でも低温でかけた方が安心です。
スチームアイロンや衣類スチーマーを使用する場合は、衣類が乾いている状態でアイロンをかけましょう。当て布はシルクやウールなどの天然繊維の場合は必要ですが、スーツは化繊のものが多いので、基本的には必要ありません。
おすすめのウォッシャブルスーツを紹介
PLSTでは、洗濯機で洗えるスーツを多数取り扱っています。その中から3種類の異なる素材を使用したウォッシャブルスーツを厳選して紹介します。
*トリアセブレンドカラーレスジャケット×パンツ
ビジネスからセレモニーまで対応する、上品な光沢のある素材のスーツ。すっきりとしたカラーレスジャケットなのでデザイン性の高いブラウスとも相性がよく、エレガントに決まります。ベーシックなセンタープレス入りのストレートパンツは、美脚効果も抜群。同素材でデザイン違いのアイテムが全8型あるので、さまざまな組み合わせが楽しめるのも魅力です。
*ハイストレッチトリコットカラーレスジャケット×パンツ
オンにもオフにも使えるストレッチが効いたジャージー素材のスーツ。カラーレスダブルジャケットはストレートシルエットで、長めの着丈がマニッシュな雰囲気を漂わせます。インナーにはラメ入りのシアーニットを選んで、華やぎアップを。ワイドストレートパンツを合わせることで抜け感が生まれ、こなれたスタイルに。
クリーニングの手間がかからないウォッシャブルスーツを選ぼう!
ウォッシャブルスーツは、自宅で手軽に洗える優秀アイテムです。クリーニング代も、クリーニングに出している時間も節約でき、まさにコスパ&タイパに優れた頼れる存在。ドライクリーニングと比べて水洗いできるので汗や臭い、花粉などがすっきり落ちて気持ちのいい仕上がりに。暑くなるこれからの季節こそ、毎日を清潔に快適に過ごせるウォッシャブルスーツを選んでみましょう。
PROFILE
平島利恵さん
洗濯研究家。洗濯洗剤・布ナプキン・布おむつのブランド「Rinenna(リネンナ)」を立ち上げ、“毎日の不快な作業を快適に”をモットーに、洗濯をもっとラクに楽しくするお役立ち情報を発信している4児のママ社長。著書に『洗濯を見直すだけで人生が変わる! 新・お洗濯メソッド』(KADOKAWA)がある。
Instagram @riehirashima
【Staff Credit】
Text:Yasue Ito
Direction:Pomalo Inc.
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